
メルセデスの社是とも言われた「最善か無か」を追求したW124にもう一度乗りたいと思っていた戸賀編集長。ついにネオ・クラシックなW124、92年式300E-24を手に入れる
ちと旧いネオ・クラシックを
スガ 今回は、街乗りのための1台であり、まさに日常の足代わりのとして購入を決めたクルマについて聞いていきたいと思う。まぁ、簡単に言うと、フォルクスワーゲンのUp! GTiの後のクルマになるワケだけど、どんな1台をチョイスしたの?
トガ おっ、もうUp!の次のクルマまできたワケか! だいぶ現在に近づいてきたな。でも、今回のクルマは、Up!のすぐ後のクルマって言っちゃうと少し語弊があるかも知れないんだよね。
スガ どういうこと?
トガ ほら、俺はその頃MINIのアンバサダーを務めていたんだよ。だから正確に言うと、Up!の次に乗っていたのはMINIになる。でもMINIは借りていたクルマだから愛車ではないワケだ。だから今回のクルマは、そのMINIの後に乗った1台っていう感じなんだよ。
スガ なるほど、そういうことね! その件は了解。ではあらためて聞こう。MINIの後に選んだ1台とは?
トガ スガ、そんなに焦るな、クルマを発表する前に、ちょっと話しをさせてくれ(笑)。
スガ え〜〜っ、まぁ仕方ないか(笑)。
トガ 仕方ないはおかしいだろ(笑)。まぁ、そんなに難しい話しでは無いんだけど、Up! GTiで小型車の楽しさに目覚めた俺は、そのMINIに乗っていた一年間で、さらに小型車の良さを再認識しちゃったんだよ。
MINIは、クルマのサイズ的にも価格的にも(買ってないけど)、まったく気を使わないで走ることができる本当に良いクルマだった。なのにアンバサダーを辞めたらMINIを返さなければならないという、非常にマズい事態に陥ってしまったんだよ。
スガ 借りたら返すのは当たり前だけどね(笑)。
トガ まぁ、そうだよな(笑)。アンバサダーだった一年間でMINIの良さを十分に理解していた俺としては、MINIを返却した後もやっぱり気軽に乗れる小型車としてのMINI、中でもジョンクーパーワークスがどうしても欲しかった。
ジョンクーパーワークスが見つからなかったら、クーパーSでもいいから、とにかくマニュアルのMINIが欲しかったんだよ。それくらいMINIが気に入っていた。でもなスガ、そういう時に限って、どんなに探しても中古しか見つからないんだよね。
スガ 中古車が好きではない戸賀としては、どうしてもそこは我慢できなかったワケだ。
トガ まぁ、そんな感じかな。そこで、他のメーカーのマニュアル小型車にも目を向けてみることにした。最初に候補に挙がったのは、マツダロードスター。このクルマ、走りも楽しめるし、オープンエアも愉しめる最高の1台なんだけど、いかんせんキャディバッグが積めない。その時点で即却下となった。
スガ 助手席に載せればいいじゃん。
トガ 内装に傷が付くんだよ。だから却下。次にGRヤリスも気になったんだけど、購入するにあたり競争率があまりに高かった。買える可能性が限りなくゼロに近かったのでこちらも断念。
その時点で、「この際、新車を諦めて旧いクルマに目を向けてみるのも良いかなぁ」なんてことを考えたんだよね。
スガ でもトガ、お前、中古車は嫌なんじゃないの?
トガ スガ、俺の言葉が足りなかったな。俺が探していたのは中古車ではなく、ネオ・クラシックな。中古ではなく、ネオクラであることが重要だったんだよ。
スガ なるほど、ネオ・クラシックね。そういう括りなら、トガとしては911を外すことはできないんじゃないの?
トガ そうなんだよ。実際、俺が一番欲しかったのは、ポルシェの964だった。でもなスガ、その当時でティプトロの極上車が2000万円超え、マニュアルだと2500万円を超えていたんだよ。足代わりのクルマに、さすがにその金額は出せない。
スガ 確かに、2000万円を余裕で超えてくるクルマを足代わりにはできないよな。なら他のメーカーのクルマを探すことになるよな。
トガ そうなる。もちろん、BMWのE30なんかも探してみたよ。探してみると、30年も前のクルマなのに走行距離が10000km台なんていう個体もあるにはあるんだよ。
でもな、写真で見ただけなんだけど、明らかにステアリングがガビガビだし、どう見てもコンディションは良くなさそうだった。
スガ ステアリングがガビガビな時点で、神経質なトガには無理だな。
トガ そうなんだよ(笑)。そこでBMWなら、M4でもお世話になったスタディに何かあるかも知れない! と思い付いて相談してみたんだけど、こちらには、クルマの状態自体は良くても足回りなんかに手が入っているようなクルマしか無いんだよ。俺が欲しかった、当時のままの完全ノーマルという個体は無かった。
スガ まぁスタディはBMWの公認チューナーだからね。でも、そういえばトガって、昔からノーマルであることにこだわるところがあったよな。
トガ そりゃそうだよ。クルマメーカーが莫大なコストをかけて開発を進めて、最高の状態として導き出した答えがノーマルの状態なんだから。基本、後から手を入れる必要なんて無いんだよ。
スガ それについては、俺も同じ意見だな。
トガ スガ、無理しなくてもいい。お前が違法改造車好きだったことは知っているから(笑)。
スガ うるさいよ(笑)。
トガ まぁ、そういうこともあって、旧いメルセデスも探してみようかな? と捜索の手を広げていったワケだ。そんな時、『オールタイムスターズ』の存在を知ることになるんだよ。
『オールタイムスターズ』で92年式 300E-24(W124)と出会う

走行距離38,125㎞、屋内保管という、奇跡とも言える状態の1台を発見
スガ オールタイムスターズ! あそこは取材をさせてもらったことがあります(笑)。正規ディーラーがネオクラなメルセデスを、リフレッシュ&リファインして販売、メンテナンスしてくれるところだよな。
あそこのクルマなら間違いない。何と言っても正規ディーラーのお墨付きだもんな。オールタイムスターズなら、トガの求めるネオクラの完全ノーマルも手に入るってワケか。
トガ その通り。さっそく店舗に足を運んで見てきたのが、名車W124の300E-24、92年式の走行3万9000キロという個体だった。ボディカラーは懐かしのブルーブラック。走行距離が短いだけじゃなくて、コンディションが素晴らしかったんだよね。
前オーナーが大事にしていたのが良く分かるし、間違いなく屋内保管されていたであろう個体だった。
スガ なるほど、そこで迷うことなく購入を決定したワケか。
トガ いや、さすがにその場で決めることはできなかった。もともと俺は、やっぱり中古車に抵抗があるんだよ。その点がどうしても引っ掛かっていた。
さらに当時相談にのってくれたオールタイムスターズの森さんが、「やるべきところをしっかりメンテナンスしていれば、ネオクラでも週2回のゴルフは余裕です。もちろんエアコンもしっかり効きますよ。一概には言えませんが、ネオクラに乗るなら、最初に悪いところを全部直してから乗るのが正解です」なんて言ってくるんだよ。
旧いクルマに、そこまで手を入れて購入する価値はあるのか? ってところでも悩んだんだよね。
スガ でも最終的には購入を決定したワケだよな? どんなきっかけで心境が変化していったの?
トガ まず30年以上昔のクルマなのに、3万9000キロという走行距離の短さかな。やっぱりそこのポイントは高かったよね。さらに実際にクルマを見た時、内装の傷みがほぼ無かったのも良かった。保管状態が本当に良かったんだろうね。
そして、オールタイムスターズで買取りしたベース車両だから、素性がはっきりしている。やっぱり前オーナーが分かるのは安心なんだよ。ここも大きかった。
それと若い頃に自分が、280Eに乗っていたことも大きかった。もう一度「最善か無か」を追求したW124に乗りたいと思っている自分が居た。様々なクルマを乗り継いできた自分が、時を経てあらためて乗るW124をどう感じるのかにも興味があった。
さらに、これは下世話な話しだから書かなくても良いんだけど、BMWのE30を探していた時にスタディで、「ちゃんとしたネオ・クラシックなクルマを手に入れて、今、きちんと仕上げておけば、価格が下がることはまず無いです」って言われたこともけっこうデカかったかも(笑)。



30年以上前のクルマとは思えないほど極上なインテリア。シートには擦り傷も見られない
スガ そこはしっかり書かせて頂きます(笑)。でもリセールも期待できるなら、そこはやっぱりデカいよ!
トガ だよな(笑)。ということで購入が決定。納車の前に、オールタイムスターズのノウハウがしっかり反映された点検整備をしてもらったんだけど、これがかなり細かいところまで手が入っていたんだよ。
目に見えない部分にも手は抜かない
スガ トガ、そこは取材に行ったことがある俺が説明しよう(笑)。
まずオールタイムスターズでは、法定24ヵ月点検(車検整備)をベースに、それぞれのクルマに合わせた作業が行われる。クルマが店に入庫したら、まず内外装、車両の各部を入念にチェック。その時に、3つの点を注意しながら整備が進められるんだそうだ。
トガ 3つのポイント?
スガ そう。その3つとは、①に30年以上前の”現役”であった当時の性能を100%引き出せるように、各部のリフレッシュすること。②に、製造された当時の容姿に復元すること。そして最後に③として、現代でも年間を通して”日常の足”として使用できるようにすることらしいよ。
まずは、分かりやすさを考えて外装から話していこう。
トガ スガ、お前、さっきからメモを読んでるだけだな(笑)。
スガ うるさいです(笑)。
トガの300E-24で説明すると、ベース車両のコンディションが本当に良かったから気になる傷は、フロントボンネットと右フロントフェンダー2か所だけだったらしい。
軽いひっかき傷だったから、この部分をしっかりリペイント。他にはほぼ傷が無い状態だったから、最後にボディコーティングを施してボディの修復は完成したとのことだ。
ちなみに外装の傷みが激しかったとしても、オールタイムスターズでは、純正のパーツを世界中から探すことができるネットワークがあるし、ペイントに関しても、メルセデスのクオリティを保証する作業を可能とする技術&設備が整っているから、ほぼ新車の状態にまで戻すことが可能らしいよ。


写真上/ボンネット、フェンダー傷<リペア前>
写真下/フェンダー傷<リペア後>
トガ そう考えると、正規ディーラーが率先して旧車をオールタイムスターズって、本当に良い企画だよな。
スガ 本当にそう思う。さらに外装でいくと、ホイールの細かいガリ傷もボディに合わせてすべて修理。タイヤもなるべく当時のパフォーマンスに近いミシュランを装着して、モールの磨きだしなどにも手を抜かず、製造された当時の姿に復元することを目指したということだ。

タイヤは当時のパフォーマンスに近いミシュランを装着
トガ 確かに、外観の仕上がりはかなりのものだったよ。俺も森さんから聞いたけど、リフレッシュも、エンジン、ミッションだけじゃなくて、燃料系統、ブレーキ系統の一見”地味”だけど、安全に大きく関わる部分を重視しているという話しだった。
他にも、燃料タンク・燃料ポンプの脱着、ホース交換、ブレーキキャリパーのオーバーホール、ブレーキオイル・ホース交換、パッド・ローターの交換みたいな目に見えない部分もすべて交換されていたらしい。
スガ さすが正規ディーラーの仕事だよな。話が長くなってきましたので、今回はここまで。次回も300E-24の話しが続きます。次回はインプレッションを中心にお伝えしたいと思います!
メルセデス・ベンツ 300E-24
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4740×1740×1445mm文・菅原 晃