スタディ特製BMW5GT。ゴルファーとしては使い勝手も良く、ファースト・カーでも問題無し! と戸賀編集長
スガ 今回の愛車遍歴決定版! は、前回に引き続きトガの記憶の中に埋もれてしまっていた悲劇のクルマ(2台目)、BMWの5GTについて語ってもらおうと思います。
写真で見る限り、忘れてしまいそうなクルマにはとても見えないんだけどね(笑)。
そこでトガに聞きたいんだけど、どうしてBMWの5GTを購入することになったの?
トガ それはなスガ、あまりに997のGT3がスパルタンなので、気軽に乗れる足グルマが必要になったんだよ。もう一台BMWを所有していたけど、そちらはスポーティ&ラグジュアリーなモデルだったから、やっぱり気軽に乗れるクルマではない。
どうしようかと考えていたら、BMWの公認チューナーでもあるスタディが、デモカーの5GTを譲ってくれるという願ってもない話しが出てきたんだよ。
走行距離は10万キロを超えていたと思うけど、中古車は買わない主義の俺が、速攻で購入を決めたという経緯がある(笑)。
スガ トガが中古を速攻で購入(驚)! あ、トガがただの『スタディのファン』だった時の話しね(笑)。
トガ うるさいな(笑)。でもスタディが手掛けたクルマだったし、足グルマとしても十分使えて、仕事の時やプライベートではスタッフを乗せて移動することもできる。いろんなことを総合的に判断したら、まさに理想的なクルマだったんだよ。
スガ 確かに5GTなら、しっかり5人乗れるし、荷物もかなり載せられるからね。
トガ その通り。だから「編集部のためのクルマ」という位置付けでもあったワケだ。
クルマについてもうちょっと詳しく説明すると、この5GTは、7シリーズをベースにした、リムジン仕様にできる半分SUV、半分ワゴンみたいなクルマだった。
当然、速くはならないクルマだから、スタディがレーススペックにチューニングする訳がない。だからスタディは、走りには振らず敢えて車高を上げインチダウンして、サファリ仕様みたいなクルマに仕上げたんだよ。ボディカラーは艶消しのカーキで、ボディの横にはロゴが入っていた。
スガ けっこう目立ちそうだな。
トガ まぁ、デモカーだからな。さらに手に入れた時はバケットシートに変えてあったんだけど、俺はそれが嫌でノーマルに戻してもらった記憶がある(笑)。
でも移動手段としては最高のクルマだったよ。編集部のスタッフとはゴルフにも余裕で行けたしね。ただ本当に目立つクルマだったから、悪いことは絶対にできない(笑)。当時、外苑のゴルフ練習場に止めておいたら、「トガブロ拝見しています」、なんてメモ付の名刺がワイパーに挟んであったこともあった(笑)。
あまり目立ち過ぎるのもちょっとキツいかな、ってことで早めに後輩に譲った記憶があるよ(笑)。
スガ 目立ち過ぎるのも考えものだな(笑)。
大好きなクルマに、情熱を傾けられないほどの人生の転機
トガ 今思えば、MEN’S CLUBを辞める前後って、ちょうど親父が亡くなった年齢に追いつき、追い越した時なんだよ。がむしゃらに働いてきて、ふと考えてみたら、いつの間にか親父の年齢を超えていた。
そんな時だったから、その時の自分の体の状態もすごく気になったし、そのままがむしゃらな生活を続けていいのか? という自問自答の日々が続いていた時期でもあった。自分の生き方を見つめ直す時期だったのかも知れないよな。
そんな時だったからこそ、大好きなポルシェのGT3にも、スタディのBMW 5GTにも、情熱を傾けられなかったのかもな。
スガ まぁ、男の50歳前後っていうのは、人生の岐路に立つタイミングのひとつであることは間違いないよな。
トガ 確かに。でも退職が決まったら、ハースト婦人画報社は俺に、メンズメディア アンバサダーという肩書を用意してくれていた。
本当に恵まれたサラリーマン人生だったと思うし、そこまでしてくれた会社や当時の社長のブゴンさんには、今でも頭が上がらないよ。
スガ そういえば、トガがハースト婦人画報社を辞める時って、表参道の駅で派手なことをやっていたよな?
トガ お、スガのくせに良く覚えているな(笑)。そう、ハースト婦人画報社での最後の仕事は、8~10社の連合広告のモデルをやったことなんだよ。
この時の写真が巨大なポスターになって、表参道の駅をジャックした。これはMEN’S CLUBの後輩が仕掛けた、『10年に渡る編集長生活お疲れ様』の感謝の意を込めたサプライズだったんだけど、何も知らされていなかったから本気でびっくりした記憶がある。
だって表参道の駅に、巨大な自分のポスターがいっぱい貼ってあるんだぜ(笑)。当時の俺は不覚にも、そのサプライズでちょっと涙をこぼした。
あらためて、上司、部下に恵まれた、本当に最高のサラリーマン時代だったということに気付かされたんだよ。
今考えると、ちょっと恥ずかしい思い出でもあるけど、本当に恵まれた環境に居られたことは、今でも感謝しかないね。
BMW 5GT(535i)
全長×全幅×全高: 5000mm×1900mm×1565mm文・菅原 晃