トガナリ

Column

25/9/2

今回のセカンドカーはBMWの3シリーズ。このクルマに本当にハマった意外な人物とは?

4人が乗れて、かつキャディバッグを4つ積めるセカンドカーを想像したとき、戸賀編集長の頭にふと浮かんだのがBMWだったという

数々のクルマを乗り継いできたことから、業界でもかなりの“クルマ通”として知られる戸賀敬城。彼が選ぶクルマが持つそれぞれの魅力、さらには、そこから読み取ることが出来るクルマ選びの基準を、本人の口から語ってもらうのがこの『愛車遍歴決定版!』。話の聞き手は、戸賀(トガ)のCar Ex編集部時代の同期であり、フリーランスエディターの菅原(スガ)。編集部時代は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」ならではの、懐かしい昔のこぼれ話もお楽しみください!

スガ 今回も、毎回恒例となっている、前回の振り返りから始めることとしましょう!
400万円台という価格でありながら、左ハンドルでマニュアル、さらにキャディバッが4本も積める積載量。さらにFFでありながらドリフトも楽しめそうな安定志向の味付けに、1.6リッター・ターボの小気味良い吹け上がりで、走りも楽しめたプジョーRCZ。
非常に気に入っていた1台ではあったものの、当時のMEN’S CLUB編集部で盛り上がっていたゴルフ熱を下げることなく、もっと継続させることで編集部員との密な繋がりを構築したかったトガは、編集長として、「キャディバッグが積めて、4人が乗車できる」セカンドカーの購入を決意。
ついに久しぶりの2台持ち生活が始まるのであった!
みたいな感じだったよな?

トガ 今回もあまり毒がない振り返りだな(笑)。
まぁ、そんな感じかな。真面目な話しをすると、俺は人との距離を縮めたいときには、一緒にゴルフをラウンドすることが多い。だから編集部のスタッフと行くにしても、クライアントと行くにしても、キャディバッグが3本積めても、人が2人しか乗れないRCZは間違いなく役不足だった。
この状況を打ち破るためには、4人が乗れて、かつキャディバッグを最低3本は積めるセカンドカーを探す必要があった訳だ。
もっと言うと、今どきの若いやつアルアル? かも知れないけど、当時のMEN’S CLUBのスタッフでもクルマを持っているやつが少なかったんだよ。一緒のクルマでゴルフに行くには、俺がクルマを用意するしかなかった。良く働いてくれているスタッフに対する感謝を形にするという意味合いでも、3~4人は乗れるクルマが必要だった。
今考えてみると、みんなでゴルフに行くためのセカンドカーを買ったあたりから、編集部のチームワークがさらに良くなって、MEN’S CLUB売り上げも上がっていった記憶があるよ。

スガ なるほどなぁ。編集部員の士気を上げるためのクルマ選びでもあった訳ね。じゃぁ最低でも3本のキャディバッグが積めて、4人が乗れるとなると、SUVとかステーションワゴンって感じでクルマを探し始めたってこと?

トガ ちょっと違うんだよ。じつはクルマ探しを始めた時、頭にふと浮かんだ自動車ブランドがあった。

スガ トガの頭に、ふと浮かぶブランド? ってことは、メルセデス?

トガ いや、今回はBMWだった。ある意味コンサバで、乗っていく場所を選ばないというのも、今回のセカンドカーに求めた条件だったから、BMWでもセダンがドンピシャだった。さすがにRCZだと、フォーマルな場には乗って行きづらい雰囲気があることは否めない。
だから、ある意味RCZと正反対のキャラクターの1台を選んだって感じかな。

 


ある意味コンサバで、乗っていく場所を選ばないという条件にぴったりハマったのがBMWの3シリーズ、セダンだった


スガ なるほどね。でも戸賀って前にもBMWに乗ってなかったっけ?

トガ 「愛車遍歴決定版!」でもやったけど、Z8は乗ったことがあった。

でも不思議なことに、セダンには乗ってこなかったんだよ。広報車には何度も乗らせてもらっていたけど、なぜか自分で所有したことはなかった。
ということで、その時はBMWのセダンに狙いを絞った。でも当時は、お金に余裕がある訳ではないから、BMWで一番小さいセダン、そしてBMWの看板でもある3シリーズを狙い撃ち。で、購入を決めたのが、当時出たばっかりの328iだったんだよ。
ちなみにボディカラーは悩みに悩んだ末、ブラウンメタリックをチョイス。そこにベージュのレザーの内装を組み合わせて、落ち着いた大人のセカンドカーを演出してみた。

 


華美な装飾の無い、シンプルな内装もBMWの魅力のひとつ。トランクの容量は480リッターを確保


 

スガ 確かに大人っぽい、落ち着いた感じの組み合わせだね。でもさ、あの頃の自動車業界で評価が高かった320iを選ばなかったのはなぜ?

トガ あの当時は、ダウンサイジングターボが出始めた時だっただろ? トガ的には、まず1997㏄、直4ツインターボというエンジンに興味があったんだよ。エコだしね。だから328を選んだ。
ただモデル名については、2リッターなのに、どうして320じゃないの? なぜ328? って口に出して言ってみた記憶はある(笑)。
でも実際に走らせてみると、2リッターなのにパワフルで、ツインターボのおかげで大排気量NAエンジンのような、自然な走りを実現しているんだよ。
だから『328』でもまったく問題なしと思ったし、それこそ初見で気に入ってしまったエンジンだった。

 


最高出力245ps、最大トルク35.7kgmを叩き出す2リッター直4ターボエンジン。0-100km/h加速は6MTで5.9秒、8Aは6.1秒を誇る


 

トガ でも328を選んだ理由はそれだけじゃないんだよ。俺は以前、メルセデスのCクラスには乗っていただろ? だから今回はメルセデスが敢えて外すことにした。そして俺のキャラ的に、どうもアウディは合わない。となると、BMWしかない。
さらに言うと、戸賀が徳大寺有恒さんから、クルマに関することを数多く学んでいることは知っているよな? その徳さんがいつも、『3こそがBMWだ』と語っていたんだよ。
だから初めてのBMWのセダンなら、3シリーズを選ぶのは当然であり必然だった。

スガ 3シリーズを選んだ裏には、徳大寺さんの教えもあったのかぁ。じゃあ、328iは、ゴルフに仕事に、プライベートにと大活躍だった訳だ。

トガ いや、ところが、そう上手く事は運ばないんだよ。

 

 

駐車場から328iが消える!

 

スガ うん? どういう意味? 気に入ったなら、あとは乗るだけでしょ。

トガ いや、乗ろうとすると駐車場から328iが消えているんだよ。それもけっこう頻繁に(笑)。

スガ どういうこと?

トガ じつは、妻が328iに乗ってどこかに行っちゃうんだよ(笑)。あの運転嫌いだった妻が、週に6日はドライブするほど328を気に入っちゃった (笑)。
当時のBMWは、ちょっとメルセデスのラグジュアリーに寄せてきたと俺は思っているんだけど、妻には、BMWが創り出したラグジュアリーが好印象だったんだろうね。
妻がクルマに興味を持ってくれるのは嬉しいんだけど、さすがに週に6日も乗られちゃうと、俺が乗るチャンスが無い(笑)。
RCZはあったけど、やっぱりゴルフに行くときは4人で移動したいし、なんと言っても、オートマの楽チンさを知ってしまったから、もうマニュアルには戻れない身体になっていたんだよ (笑)。
まぁ今となっては、妻との328争奪戦も懐かしい思い出だけどね(笑)。

スガ 「戸賀敬城の愛車遍歴決定版!」だけど、今回は奥さんの愛車って感じなのか?(笑)。
ならば当時トガが、奥さんから聞いた話しも聞かせてくれ(笑)。

 

 

やっぱりサイズ感は大事

 

トガ 妻から聞くのはある意味正しい(笑)。俺よりも乗っている距離も時間も確実に長いしね(笑)。あの頃の記憶を呼び戻してみると、確かに妻の運転がどんどん上手くなっていった記憶がある。乗っている時間が長くなると、自然と運転に自信が付くって感じなんだろうね。
本人に直接聞いた訳ではないけど、ボディサイズも丁度いい感じだったんだろうと思う。初めて「運転をするのが楽しい」って言っていたし、328iは妻の車に対する考え方を変えてくれた1台だと、今でも俺は思っている。
その328iも俺は1年で手離すんだけどね(笑)。

スガ 実質、奥さんの愛車だったんだろ? 本当に酷い男だね。

トガ いや、買ったのは俺だし(笑)。でもなスガ、328を手離すといったら彼女が、自分のお金でBMWの3シリーズを買うって言い出した。
さらに、当時住んでいた白金は坂道が多かったこともあって、「3シリーズには、雪が降っても坂道を上れるような4WDのモデルはないの?」と聞いてくるから、妻の本気度に驚いた俺は、BMW 320iXを提案したんだよ。
妻もこの提案に乗ってくれて、後日、戸賀家の2台目となる320iXが無事に納車された訳だけど、これがやっぱり良いクルマだった。
リアルに白金で雪が積もってしまったとき、路肩でスタックしているメルセデスのSクラスを尻目に、上り坂をノーマルタイヤで何事もなかったように走っちゃうんだよ。本当はノーマルタイヤで走るのは良くないんだけど、突然の雪だったからね。
あの瞬間、彼女のBMWに対する評価がさらに上がったことは間違いない

スガ なるほど。戸賀家ではBMWの評価は高く、奥さんの車に対する考え方を変えてくれたのが328iだったことも分かった。
でもな、さっき328iも1年で手放したって言っていたよな?
ということは、またクルマを買い替えたんじゃないの?

トガ あっ! その言葉で、スガに言っておきたいことがあったのを思い出した。あのな、俺のクルマの売買のタイミングが早いのには、「キャディバッグが載らないから」とか「飽きちゃったから」とかではなく、ちゃんと理由があるんだよ。

スガ おっ、どんな理由?

トガ 車検を取る前、それこそ1年~2年でクルマを手放すと、そのクルマを狙っているでかいマーケットがあるんだよ。
確実に高値で売れるなら、そのタイミングで手放すのが正解だと俺は考えている。だから、メルセデス、BMW、ベントレーなどは、ほとんどが車検を取らずに乗り換えた。
でも本当に気に入ったクルマは車検を取ることだってある。毎回すぐに、「さようなら」じゃないってことは知っておいて欲しいんだよね。

スガ 確かに、トガが長く乗っていたクルマもあったな。俺は一度買ったクルマは乗り潰すくらい長く乗る方だから、そこはトガと違うんだよね。

トガ まぁ、俺にもすぐ手放したクルマはあるんだけどね(笑)。

スガ トガのクルマの乗り換えが早い理由は分かった。で、話を戻すぞ。328を1年で手放したトガは、次にどんなクルマに狙いをつけたの?
今俺は、そこが一番気になるんだけど(笑)。

トガ まぁ、その辺の話しは次回にしよう。ちなみに、乗り替えたクルマはセダンではありません(笑)

 


BMW328i モダン

 全長×全幅×全高: 4625mm×1800mm×1440mm
 ホイールベース:2810mm
 駆動方式:FR
 車両重量:1560kg
 最高出力:180kW (245 PS)/5000rpm
 最大トルク:350N・m (35.70 Kgf・m)/1250rpm
 種類:直列DOHC4気筒ターボ
 総排気量:1997cc
 価格:¥6,139,000(税込)※2012年当時

文・菅原 晃