トガナリ

Column

26/2/26

vol.42 迷走を繰り返した!? フェラーリF8トリブートを手放した後のクルマ選び

今回は趣向を変えて、戸賀編集長のクルマ選びとその迷走っぷりをご紹介します

出版業界では、かなりのクルマ好きとして知られている戸賀編集長(トガ)。数々のクルマを乗り継いで来た彼が、10年に渡るメンズクラブ編集長という肩書を外し、忖度が無くなった状態のなかで、「どんな基準でクルマを選んでいたのか?」、「そのクルマの魅力はどこなのか?」等を大いに語ります。
話の聞き手は、戸賀編集長が雑誌編集者時代から30年来の付き合いを続けている、フリーランスエディターの菅原(スガ)。若い頃の数年間は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」の二人。そんな二人ならではの昔話、こぼれ話もお楽しみに。

スガ この間も言ったんだけど、この愛車遍歴決定版!シリーズ、限りなく現在に近付いています!

というか、ほとんど現在進行形になっているんだけどね。そこで今回はちょっと趣向を代えて、トガの愛車の選び方、そしてそのクルマを決めるまでの迷走っぷりを皆さんに紹介したいと思っているワケです(笑)。

トガ そんなに迷走しているとは思わないけどね(笑)。でも俺が、クルマ選びでどれだけ悩んでいるのかを知って貰うには、意外と良い機会なのかも知れないね。

スガ だろ? ということで今回は、トガのアイデンティティとも言える、「スポーツカー(ファーストカー)の選び方について」を聞いていきたいと考えております!

ちなみに前回のスポーツカー・カテゴリーの愛車遍歴決定版! は、フェラーリF8トリブートだったんだよ。内容的には、「かなり気合を入れて仕様を決めたフルオーダーだったのに、まさかのフェラーリ側のミスによってトガが思い描いたF8トリブートとはまったくの別物が出来上がってしまった。クルマ自体は最高なのに、そのフェラーリ側のミスがどうしても納得ができなかったトガは、一生乗ろうと考えていたフルオーダーの愛車を手離すことになってしまった」って感じのところで話しが終わっているんだよね。

トガ また思い出したくもない、あの時の気持ちを思い出してしまったじゃないか(笑)。

あのなスガ、確かにステッチの色が違う(愛車遍歴決定版! vol.36参照)なんていうのは、本当に些細なことなのかも知れない。でもさぁ、やっぱり乗るたびにどうしても気になるんだよ。

F8 トリブートは、走らせるだけでストレスは発散できるし優越感にも浸れる最強のマシンだったけど、どうしてもその小さな部分が引っ掛かってしまうんだ。

スガ トガ、その気持ちは分かる。痛いほど分かる。でもさ、もう終わった話じゃん(笑)

悲しい話しではあるけど、そのF8トリブートもぜひ譲って欲しいと言ってくれた人が引き継いでくれたんだろ?

このご時世、ミッドシップに純化石燃料エンジンを搭載しているフェラーリで、フルオーダーの1台とくれば欲しい人は必ずいるはずだし、売却益は出なかったとしても大きな損失があったワケでもないんだろ?

だったらさっさとF8トリブートのことは忘れて、次のクルマ選びについて話しを進めることが正解だと思うよ!

トガ 軽いなぁ。スガ、お前の言葉にはまったく重みが感じられない(笑)。まぁ、すでに手離してしまったクルマだから良いちゃ、良いんだけどさ。

真面目な話しをすると、確かにF8トリブートの次のクルマ選びはかなり迷った。フェラーリ側の間違いから負うことになってしまった心の傷は、小さくはなかったからね。新しいクルマを購入することにまったく抵抗が無かったと言えば嘘になる。

でもやっぱり、F8トリブートに変わるスポーツカーを所有しておきたいと思い続けている自分もいたんだよ。スガが言った通りで、スポーツカーは俺のアイデンティティと言っても良い存在だからね。そこでまず考えたのは、F8トリブート以外のフェラーリを選ぶことだった。

 


フェラーリ チリンドリ


 

トガ でも正直、当時のフェラーリには俺が欲しいと思えるモデルは無かった。チリンドリは一瞬、良いかなぁとは思ったけど、とても手が出せる価格ではなかった。ミッドシップでもないしね。

他のモデルに目を向けてみても、ミッドシップのモデルはハイブリッドばかり。何度も言ってきてるけど、俺はハイブリッドのスポーツカーには、まったく興味が無いんだよ。

スガ 車重が重くなるハイブリッドのスポーツカーは認められないんだもんな。

トガ そう。だからフェラーリ以外のスポーツカーに目を向けてみた。

 

 

フェラーリの次のクルマとしては、問題あり?

 

スガ おっ、まず気になったメーカーはどこだったの?

トガ ランボルギーニだった。

 


ランボルギーニ ウラカン STO


 

スガ うわっ、まったくトガっぽく無いんですけど(笑)。

トガ だよな(笑)。でもランボにはV12がある。だったら気になるのは仕方ないと思わない? でも、本当に気になっていたのは、V10ノンハイブリッドのウラカンにラインナップされていたSTOという、ポルシェ911で言えばGT3的なモデルなんだけどね。

でもゲレンデのプロフェッショナルで学んだように、乗るだけで目立つような派手なクルマは勘弁だった。だからその時は地味なカラーのSTO限定で探したんだけどね(笑)。カーセンサーをブックマークしていたくらいだから、意外と本気だったかも知れない(笑)。

スガ 気になっているんだから、ブックマークくらいはするだろ。ブックマークはタダだし(笑)。

トガ さらに言うと、ウラカンはドアが上に開かないから、地味な色ならワンチャン乗ってみるのもアリかな、という気持ちもあったのは間違いない。

スガ そうか! ウラカンはシザースドアじゃなかったんだ。極力目立ちたくないトガには、まさにうってつけの1台じゃん(笑)。

トガ そうなんだよ。でも、ランボ自体が俺のイメージではないし、フェラーリを手放してすぐにランボに行くって、やっぱり「何でもいいんかい?」「節操無さ過ぎ」って感じがあるのは否めない気がしない?

じつは俺自身の中にも、「そこは行っちゃダメだよね」って思う部分はあったんだよ。だから最終的に、フェラーリの後でランボにいくことはパスすることにしました。

 

 

気になるけど、アストンはスポーツカーではない

 

スガ 良い判断だと思います(笑)。で、次に目を向けたのは?

トガ アストンマーティンかな。

 


アストンマーティン DB12


 

スガ こちらは、いかにもトガが選びそうなクルマだな。

トガ だよな(笑)。でもアストンマーティンは、俺のなかではスポーツカーというカテゴリーでは無いんだよ。アストンはやっぱりGTなんだよね。

何をもってスポーツカーとするのか? っていうのは、やっぱり人それぞれの解釈ってことになるんだろうけど、俺のなかでは、「ニュルブルクリンクのタイムで何位に入った!」みたいなことも、スポーツカーを選ぶ基準になる要素のひとつ。その基準で言えばアストンは絶対上位に出てこないし、残念ながらサーキットを走るアストンの姿を俺はカッコいいとは思えないんだよ。

やっぱりアストンは、都会の街中や高速を走る姿が断然カッコいい。だからスポーツカー選びでは、あえて外させて貰うことにしたんだよね。

スガ なるほど。どこに軸足を置いてクルマと接するか、それによってクルマ選びも変わってくるということなんだな。

トガ そんな感じかな。そして俺が次に目を向けたのがマクラーレンだった。俺が気になっていたのは、720Sの限定モデルである765LT。ちなみにLTはロングテールの略ね。

 


トガ編集長の愛車だったマクラーレン570S

マクラーレン765LT


 

スガ ご説明ありがとうございます。

 

 

ノンハイブリッドのスポーツカーが高すぎる

 

トガ 俺はマクラーレンのアンバサダーをやっていたし、570も所有していたけど、765LTはそれくらいの経歴じゃ売ってもらえないくらいの、まさに選ばれた人だけが購入できる限定車なんだよ。だから新古車で探してみたんだけど、予想していた通り、けっこうなプレミアが付いていた。

スガ やっぱりプレミアは付くよね〜。ちなみにプレミアが付いた価格ってどのぐらいだったの?

トガ 当時の価格で、6000万近かった記憶がある。

スガ 6000万!

トガ V8が積まれているし、何と言ってもノンハイブリッドの限定車ってことで人気が高かったんだよ。ちなみに、新車で狙えるV6ハイブリッドのアルトゥーラもかなり良いクルマなんだけど、やっぱりハイブリッドというだけで人気は落ちていた。これはスポーツカー好きなら仕方がないことだけどね。

スガ となると、やっぱり狙いは765LTになるワケだ。

トガ 必然的にそうなるよな。でも765LTにもひとつの問題があったワケだ。

スガ ありゃ? 限定車だし、人気もあるし、問題なんか無さそうだけど。

トガ じつはマクラーレンのエンジンって、基本的にV8とV6の2種類しかないんだよ。そのエンジンにチューニングを施すことで進化させ続けているのが、現状のマクラーレンなんだよね。

スガ エンジンのベースは一緒で、味付けを変えているってこと?

トガ そう。だからV8が積まれているとは言え、ベースとなるエンジンは最新のモノではない。そう考えると、765LTに6000万近くの金額を出すのは、ちょっとナンセンスじゃないかと思ってしまったんだよ。

しかもその時俺の頭によぎったのは、「昔乗っていた570Sの限定車「600LT」の距離浅って、けっこう有りなんじゃない?」 ってことだった。間違いなく正常な精神状態では無いよな(笑)。でもちょっと精神的にきちゃうぐらい、俺はノンハイブリッドの限定車が欲しかったんだよ。そこまで追い詰められていたワケだ(笑)。

 


マクラーレン600LT


 

スガ 限定車とは言え、自分が昔乗っていたクルマを狙うなんてことは、まったくもってトガらしくないよな。かなり追い詰められていたというのも納得です(笑)。

トガ そうだよな(笑)。でも実際に600LTを探してみると、発売からちょっと経っていたクルマということもあって、距離浅を探しても4000キロ以上走行しているクルマしか見当たらなかった。

そうなると、自分が所有していたF8トリブートには4000キロも乗らなかったのに、それを売って走行4000キロオーバーの中古車を買うってことになったら、それこそナンセンスなんだよ。ということで、マクラーレンもあきらめることになりました(笑)。

スガ もう乗れるクルマがない(笑)。

トガ そうなんだよ(笑)。だからその段階で、もう一度冷静に考えてみることにしたワケだ。

そこで俺なりに導き出した答えが、「今だからこそ、俺が一番乗ってきたクルマ、好きなクルマに戻ってみるのが一番なんじゃないか?」ってことだった。

そうなると、やっぱり俺には911しかないんだよ。ならばここは一度、911に戻ることが正解だと俺は判断したんだよね。

スガ ポルシェの話しを全然してこないから、何となく予感はしてたんだけどね (笑)。そういう紆余曲折があって、今はあのクルマを所有しているワケかぁ。

トガ そういう経緯があったんだよ。

スガ 後半に続きます!


文・菅原 晃