トガナリ

Column

25/10/25

vol.28 セカンドカーなのに名車W124の再来? と思えるくらい最高の1台を発見!

愛車遍歴の第二幕。戸賀編集長が選んだ最初のセカンドカーは、メルセデス・ベンツのE220d アヴァンギャルドだった

数々のクルマを乗り継いできたことから、業界でもかなりの“クルマ通”として知られる戸賀敬城。彼が選ぶクルマが持つそれぞれの魅力、さらには、そこから読み取ることが出来るクルマ選びの基準を、本人の口から語ってもらうのがこの『愛車遍歴決定版!』。話の聞き手は、戸賀(トガ)のCar Ex編集部時代の同期であり、フリーランスエディターの菅原(スガ)。編集部時代は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」ならではの、懐かしい昔のこぼれ話もお楽しみください!

スガ では、今回も毎回恒例となっている、前回の振り返りからスタートしたいと思います!

前回の愛車遍歴決定版! では、トガが人生2台目となる911(991)GT3を所有したものの、PDKを搭載したモデルであってもそのハードな乗り味がライフスタイルには合わず、足代わりとなるセカンドカーの購入の検討を開始。

セカンドカー選びには大した期待はしていなかったものの、この時に出会ってしまった1台が、あの名車の再来? と思えるくらいに最高の1台だった。さて、その1台とは……?

というところで、話しが終わっているんだよね。「名車の再来と思えるほど最高の1台」っていう部分が非常に気になっているんだけど、そのクルマの正体、とっとと教えて頂くことはできないでしょうか?(笑)

 

トガ とっとと教えるのは何となく嫌だ(笑)。だから今回は、当時の俺がセカンドカーに求めた条件について話すところから始めてみない?

スガ う〜ん、確かにトガの「セカンドカー選びの条件」は気になるところだよな。了解、その時のトガのクルマ選びの条件から話しを始めるとしよう。ということで、まず最初に考えた条件って何だったの?

トガ まずは当たり前だけど価格だよね。セカンドカーなんだから、そんなに高いものは買えない。500万前後って感じで探し始めたんだけど、残念ながら「これだ!」というクルマに巡り合うことが出来なかった。

スガ なるほどね。俺には500万でも高く感じるけど(笑)。

トガ ま、そこは人それぞれだから(笑)。ということで、やむを得ず、予算はもうちょっと増やしても良いということにした。

続いて第二の条件。これは何かクルマに不具合が起きた時、ディーラーのサービスがバッチリであることとした。これ、じつはかなり重要なポイントなんだよ。安心感が違うから。

スガ あ〜、確かにそれは言えてる。アフターサービスのしっかりしているディーラーって、やっぱり信頼できるもん。

トガ だよな。そして第三の条件。これは、購入対象のクルマのモデルチェンジが近くないこととした。これはリセールも考えてね。

スガ 購入時にリセールを考えるあたり、さすがトガさんです。

トガ 常識です(笑)。ということで、その3つの条件に当てはまるディーラー(メーカー)&クルマを考えてみたんだよ。そうなると、ちょっとご無沙汰しているあそこしか考えられなかった。

スガ 俺の頭の中にもあるディーラー(メーカー)が浮かんでいるんだよ(笑)。当てても良い?

トガ 当ててみろよ(笑)。

 

スガ アフターサービスのしっかりしているディーラーだろ? そうなるとあそこしかないじゃん。トガの大好きなメルセデス(笑)。

 

トガ 残念ながら正解(笑)。ということで、メルセデスのモデルで検討を始めてみたんだよ。当時、Cクラスはモデルチェンジ前だったから、これは最初に候補から外した。Sクラスはセカンドカーとして考えるとしたら、ちょっと違うし、AとかBには、まったく興味が無かった。

スガ となるとEクラスしかない訳だな。

トガ その通り。でも気になっていたE63だとファーストカーに近づいちゃうし、そもそもそんな予算がある訳がない。ステーションワゴンという選択肢もあったんだけど、セダンでもキャディバッグが3つ載ることが分かったから、ここは敢えて地味な見た目のセダンをチョイスするのも有りかな? って考えた。

スガ 会社員を辞めて、フリーになったばかりということもあるしな。

トガ そうなんだよ。フリーになったばかりというのも、地味目なセダンを選んだ理由の一つであることは間違いない(笑)。

時計に例えると、ステーションワゴンはクロノグラフでセダンは三針時計って感じだろ? クロノグラフはゴマカシが効くけど、三針のほうは誤魔化しが効かない。やっぱり最初は直球勝負で、シンプルな三針を選ぶべきだと俺は考えた。セダンでも勝負できるかなと思ったんだ。

そこで候補に挙がったのが、E220d アヴァンギャルドだったんだよ。俺自身、ワゴンを特別カッコ良いと思わなかったって言えばそれまでなんだけどね(笑)。

 


ゴルフに行くことを考えたら、黒い内装はNG。夏場の車内は大変なことになります(笑)


 

セカンドカーを所有できたからこそ、名作に出会えた

 

トガ ちょっと予算はオーバーしちゃうけど、確かあのクルマは700万円台前半で買えた記憶がある。さらに、俺にとっては生まれて初めてのディーゼルだったんだよね。

でもE220dには、ミラノに行ったときに何度かハイヤーとして乗っていたこともあったし、何より走りが良かった覚えもあった。 とりあえずメルセデス・ベンツ日本に在庫を調べて貰ったら、ちょうどパールホワイトのボディに、内装がベージュっていうクルマがあったんだよ。

スガ お、トガ好みの内装じゃん。

トガ そうなんだよ。俺はセカンドカーでゴルフに行くことを考えていたから、内装のカラーがベージュなのは最高だった。夏のゴルフ場に行くのに、黒のシートなんて大変なことになるからね(笑)。

ということで、最終的にパールホワイト×ベージュの組み合わせのE220アヴァンギャルドを購入することになるんだけど、「予算」「必要に応じたサイズ感」「使い勝手」などの制約だらけの中で選んだのに、実際に乗り始めてみると、これが予期せぬくらい最高のクルマだったんだよ。

スガ 運命の出会いっぽい展開だな(笑)。どの辺りが最高だったの?

トガ まず、このアヴァンギャルドというグレードは、ホイールがインチダウンされていることもあって乗り心地が半端なく良かった。魔法の絨毯のような乗り心地だったし、骨太感もあった。安物感がまったくなかったんだ。

まさにメルセデスが言う、『エンジンより速いシャシー』を体感できるクルマだった。ただ俺は、基本的にクルマは本国仕様が好きなんだよ。だから右ハンドルだったことだけが残念だった。でもそれ以外はケチをつけるところがまったくない、運転もしやすくて実用性が抜群のクルマだった。

今思えば、セカンドカーとして買ったのに、実際はほぼファーストカーとして使っていたイメージがある。40年近くクルマに乗ってきているけど、今までのクルマ生活で間違いなく5本の指に入る名車だと思っているよ。

スガ お、珍しくベタ褒めじゃん(笑)。ディーゼル独特のエンジン音は気にならなかったの?

トガ それがまったく気にならなかった。エンジン音が、クルマの外に出ないと分からないくらい静かなんだよ。ヨーロッパでは50万キロ超えでバリバリ走っている個体もたくさんあるから、今なら敢えて中古を狙うのもアリだと思う。それくらい最高のクルマだった。

スガ 確かに中古なら値段もこなれてきているから、狙い目であることは間違い無いね。ちょっとネットで検索したら、今なら300万円前後から販売されているね。

トガ クルマ好きならE220dのアヴァンギャルドを購入して、メルセデスの言う 『エンジンより速いシャシー』を体感してみるのも良いかもな(笑)。

そうだスガ、この流れで次回もセカンドカーを続けていくのはどうかな? E220d アヴァンギャルドの次に選んだセカンドカーも、これまたお気に入りの良いクルマだったんだよ(笑)。

スガ ファーストカー選びに失敗している時って、なぜかセカンドカーで良いクルマに出会うもんなんだな(笑)。

 

 

ということで、次回もセカンドカーシリーズが続きます!

メルセデス・ベンツ E220d アヴァンギャルド

 全長×全幅×全高:4930mm×1850mm×1455mm
 ホイールベース:3070mm
 駆動方式:FR
 車両重量:1800kg
 最高出力: 194 ps/3800 rpm
 最大トルク:40.8 Kg・m /2800rpm
 エンジン:直列4気筒DOHCターボ
 総排気量:1950 cc
 価格:¥7,280,000(税込)※2018年当時

文・菅原 晃