「人生初の2台持ちは、英国のオープンカーとドイツのワゴンなのでした!」現在進行形で進む 戸賀敬城の愛車遍歴決定版!
- 雄斗 田村
- 1 日前
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更新日:5 分前

1994年当時に戸賀編集長が乗っていたRV8は、グリーンメタリックのボディカラーに、タン革シートという、ブリティッシュオープンの王道をいく組み合わせでした
数々のクルマを乗り継いできたことから、業界でもかなりの“クルマ通”として知られる戸賀敬城。彼が選んぶクルマが持つそれぞれの魅力、さらには、そこから読み取ることが出来るクルマ選びの基準を、本人の口から語ってもらうのがこの『愛車遍歴決定版!』。話の聞き手は、戸賀(トガ)のCar Ex編集部時代の同期であり、フリーランスエディターの菅原(スガ)。編集部時代は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」ならではの、懐かしい昔のこぼれ話もお楽しみください!
運転して楽しく、気持ちが昂ぶるブリティッシュオープン
スガ 前回のメルセデス・ベンツ C200エレガンスは、本当に良いクルマだったにも関わらず、あまりの優等生ぶりにトガの気持ちがちょっと萎えてしまったことから、約1年で手離してしまった、というところで終わっているんだよ。
ということは、今回のクルマ選びは、「クルマ好きで走り屋である、トガの心を取り戻すためのクルマ選び」という側面もあるワケだ。異論はある?
トガ まぁ、走り屋という点を強調してくるスガの言い方は気になるが、そんな感じであったことは間違いないよ。
スガ OK! で、今回のクルマ選びだけど、俺の記憶に間違いがなければ、確かグリーンメタリックのブリティッシュオープンを手に入れたんだよな。
トガ あのなスガ、もったい付けないでいいから、さっさとクルマの名前を発表しなさい。ちなみにシートは、いかにもブリティッシュなオープンカーにありがちなタン革な(笑)。
スガ その色の組み合わせなら間違いない。今回の愛車遍歴決定版!は、まずMG RV8からスタートします!
なぜMG RV8を選んだのか?
スガ まず聞きたいんだけど、なぜRV8を購入しようと考えたの?
トガ まぁ、簡単に言っちゃうと、今までドイツ車ばっかりだったから、今度はイギリス車にも乗ってみようかな、くらいの気持ちからスタートしたんだよ。当時はCar Ex編集部にいたから、当然、情報はけっこう入ってくる。ちょうど良いタイミングで情報が入ってきたのがRV8だった。
オープンカーを所有するのも悪くないな、ということで購入を決意したという感じかな。
スガ RV8って、意外にスペックも凄かったんだよな?
トガ その通り。RV8って、英国を代表するスポーツカーであるMGBのモダナイズバージョンとして造られたクルマなんだよ。だからボディサイズはMGBとほぼ一緒。そこに、3947ccで最高出力190psのV 8エンジンを載せるんだから、『バカっ速』なのは間違いないとも考えた。
スガ ちょっと調べてみる、……おい、車両重量が1130gしかないぞ。これ、危ない位のレベルのような気がする(笑)。
トガ そうなんだよ。だから実際に乗ってみても、直線はけっこう速かった記憶がある。だけどコーナーが全然ダメ(笑)。足回りの構造が少しは近代化されたとは言え、基本はMGBだからいかんせん古い。5速MTを駆使しながら、なだめすかしてコーナーを攻めるのも楽しいと言っちゃあ楽しかったけど、やっぱり968CSの走りを知ってしまっているから、どうしても攻めきれない、物足りなさを感じてしまうんだよね。
スガ そりゃ仕方ない、基本はMGBなんだから。でもRV8は、初めて所有したオープンカーだろ? 走りではなく、オープンエアーの爽快感とか、ブリティッシュオープンならではの良い思い出もあるんじゃない?
トガ う~ん、夏はエアコンが効かないから地獄だし、フロント・バルクヘッド越しからエンジンの熱が伝わるからなのか、ペダル類が異様に熱くなるという思い出はある(笑)。当時履いていたクラークスのデザートブーツ、あのゴム底が溶けてくっついちゃうんだよ。あれには本当に参った。
さらに女の子受けも良くなかったなぁ。だから、まったく快適性が感じられないクルマだったのは間違いない(笑)。
スガ MGBの生産が終了したのが、1981年。RV8が発売されたのが1993年。当時で12年前のクルマだったんだから、快適性を求める方が間違い(笑)。
しかし、「クルマ好きで走り屋であるトガの心を取り戻すためのクルマ選び」という点では、大失敗のチョイスだったんじゃない?
トガ それは否めない(笑)。俺としては初の英国車だったのに、RV8のせいで英国車が苦手になった思い出はある(笑)。
でもRV8って、自動車雑誌『エンジン』を立ち上げたことでも知られる鈴木正文さんがかなり気に入っていたんだよなぁ。何故あんなにRV8が好きだったのか、今度会ったらちょっと聞いてみようかな (笑)。
自分の企画は、自分で実践!
スガ 今回の愛車遍歴決定版! は『人生初の2台持ち』というタイトルになっているんだけど、なんで2台持ちをしてみようと思ったの?
トガ それは簡単。Car EX企画で「クルマを2台持って楽しもう」っていう特集を提案したから。提案するからには、自分でも実践したいと思ったんだよ。「日常」と「非日常」の使い分けっていう感じかな。もちろん、RV8が「非日常」、ならばもう一台は「日常」使い倒せる一台にしようと考えてみた。
スガ 確かにRV8は日常では使えない (笑)。
トガ うるさいな(笑)。で、考えたワケだ。まず必要となってくるのが、毎月の維持費。当然、駐車場代は2台分支払うことになるから、もう1台はリーズナブルな小型車を選ぶしかなかった。
当時の俺の中には、「機能性を考慮した小型車なら、ドイツ車しかない」という考えがあったから、金銭的な面や当時のライフスタイルを考慮していくと本当に選択肢が限られてきちゃうんだよ。
で、オペル アストラ ワゴンを選んだワケ。選んだ理由としては、ゴルフより安かったことと、左ハンドルがあったこと。限られた予算の中で、自分のライフスタイルに一番フィットするであろうクルマを選ぶ作業は、けっこう楽しかった記憶があるよ。
スガ ブルーメタリックのアストラ ワゴン! トガがあえて鉄チンホイールを履かせていたヤツだよな。当時、鉄チンホイールを履かせるそのセンスに、「トガ~、分かってるじゃん」と心の中で拍手を贈った記憶がある (笑)。
トガ お前に褒められても、まったく素直に受け取れない(笑)。
スガ 素直に受け取れよ(笑)。ちなみにアストラ ワゴンの思い出は?
トガ まず、115psの割には気持ちよく走った記憶がある。あの頃はゴルフに熱中し始めたこともあってワゴンをチョイスしたんだけど、都内のゴルフ練習場や関東近郊のゴルフ場に出掛けるときなんかでも、サイズ的に取り回しは楽だし、キビキビ走るし、ラゲッジスペースもそこそこ広いから、本当に使い勝手が良い機能的なワゴンだった。

戸賀編集長は、アストラワゴンを所有したことで、「ヤナセの丁寧なサービスに感動した」と話します。またインタビュー中、当時のヤナセに在籍していた、故小渕首相の甥御さんの記憶も蘇ってきた様子の戸賀編集長。「この方がメチャ良い人だったんだよ。今何しているのかなぁ。会いたいなあ」この方の情報があれば、ご一報をお待ちしております
“良くできた道具”だったアストラ ワゴン
スガ じゃあアストラ ワゴンの評価はけっこう高いんじゃないの?
トガ クルマとしての評価というよりは、“良くできた道具”としての評価が高いという感じかな。
メルセデスのCクラスのときにも言ったけど、俺の場合、クルマとしての出来が良過ぎると、逆に気持ちが萎えちゃうんだよ。
特にRV8を手放してからは、アストラワゴンへの愛着もどんどん薄れてきちゃったから、RV8の後を追うようにして、手放しちゃったんだよね。
スガ 出来が良すぎると萎えちゃう意味が分からん。ちなみにこの2台、どのくらい所有していたの?
トガ あまり言いたくはないけど、半年くらい(笑)。
スガ トガ、お前絶対、クルマ選びを失敗しているよね?(笑)。
トガ いや、そんなことはない。2台所有してみて、初めて分かったこともあったしね。
スガ それってどんなこと?
トガ 当時、俺は実家暮らしだったから、クルマに回せるお金に余裕があった。でも余裕があったが故に、知らず知らずのうちにクルマ選びで手を抜いちゃったところがあったのかも知れないんだよ。今さらだけど、RV8はスポーツカーとして、アストラワゴンはセカンドカーとして、どちらも中途半端な選択だった気がするんだよね。
だから、もっとこだわり抜いたクルマ選びをして、最低でも2台所有の満足度が100%、できれば、さらなるプラスαがあるような組み合わせを実現できていれば、当時ももっと楽しめたんじゃないかなとも思う。
今の自分なら、もっと良いクルマを選べる自信はある。でもそれは、間違いなく20代から俺が経験してきたクルマ選びの蓄積があるからだと思うんだよ。
スガ それって、「若い頃の失敗は、さらなる成長のための糧である」ってやつ?
トガ スガ、お前ちょっと臭すぎる(笑)。
スガ 待て待て、お前が言わせたんだろ(笑)。
次回は、戸賀編集長、『またもやドイツ車に戻る』をお届けします!
MG・RV8
全長×全幅×全高:4010mm×1570mm×1310mm
ホイールベース:2330mm
車両重量:1360kg
エンジン: V型8気筒 OHV 3,947cc
最高出力: 190ps/4,750rpm
最大トルク:32.4kgf・m/3,200rpm
トランスミッション:5速MT
オペル アストラ ワゴン
全長×全幅×全高:4280mm×1695mm×1410mm
ホイールベース:2515mm
車両重量:1190kg
エンジン:直列4気筒SOHC 1998cc
最高出力:115ps/5400rpm
最大トルク:17.3kg-m/2600rpm
トランスミッション:4速AT
文・菅原 晃
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