「スポーツカーを乗り継いできた後に選んだのは、まさかの小型セダンのセダンなのでした!」現在進行形で進む 戸賀敬城の愛車遍歴決定版!
- 雄斗 田村
- 4月20日
- 読了時間: 7分
更新日:4月21日

数々のクルマを乗り継いできたことから、業界でもかなりの“クルマ通”として知られる戸賀敬城。彼が選んぶクルマが持つそれぞれの魅力、さらには、そこから読み取ることが出来るクルマ選びの基準を、本人の口から語ってもらうのがこの『愛車遍歴決定版!』。話の聞き手は、戸賀(トガ)のCar Ex編集部時代の同期であり、フリーランスエディターの菅原(スガ)。編集部時代は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」ならではの、懐かしい昔のこぼれ話もお楽しみください!
「まさか、トガがセダンを買うとは思わなかった」(スガ)
スガ 愛車遍歴決定版も今回で早くも第5回目となるワケだけど、トガの車歴を最初から見てみると、1台目がポルシェ944ターボ、2台目がポルシェ カレラ4(type964)、3台目にポルシェ968CSと、3台のポルシェを乗り継いできたことが分かった。
20代の前半だけで3台のポルシェをすべて新車で購入したことは、本当に尊敬に値すると俺は思う。
そしてその時々の心の動きを、『ちょっとビビって買えなかった、911の代わりの944ターボ』『やっぱりモテたくて購入を決めた911 カレラ4』『走り屋の血が騒いだという、ちょっと意味が分からない理由で買ってしまった968CS』など、まさに愛車遍歴決定版!に相応しい、ぶっちゃけトークで語ってくれたことは、読者の皆様にもご納得いただけていると思う。
でもなトガ、俺はお前の4台目となるあの小型のセダンは、いまだに納得いってないんだよ。なぜあのクルマを選んだのか、その理由を今でも知りたいんだよね。
トガ まず、「走り屋の血が騒いだという、ちょっと意味が分からない理由」という部分が気になるけど、まぁ、今は置いておこう。そしてスガ、お前、まだ4台目の愛車をキチンと発表していないのはマズいだろう。俺が先に発表するぞ。
発表します。僕の4台目の愛車は、1993年式のメルセデス・ベンツC200エレガンスでした。
スガ そう、そのC200エレガンスだよ。なぜスポーツカーにいかずに小型のセダンにいっちゃったのか? そこのところを聞きたいんだよね。
トガ まぁ一番大きな理由としては、 当時、世間的に評価が高かったメルセデスのCクラスのことを、ちゃんと知りたかったということかな。クルマ業界の人たちにも人気があったしね。その人気の理由を知るためには、広報車を借りて乗るだけじゃなく、自分で所有してみる事も必要なんじゃないかっていう考えもあったんだよ。
“ベンツ” から “メルセデス”へ!
スガ Cクラスのことをちゃんと知りたかったとか、人気の理由を知るためとか、急に編集者モードになっているのが怖いぞ(笑)。トガって昔から仕事になると、本当に真面目になる傾向があるよな。じゃあ聞かせてもらおう。トガにとって、C200エレガンスってどんなクルマだったの?

トガ 一言でいうと、それまでのベンツが持っていた“脂っぽさ”が抜けた感じのするクルマだった。初代のCクラス(W202)がデビューするまでは、「ボディサイズはデカい方が偉い」「排気量も大きい方が偉い」「価格は高けりゃ高い方が偉い」という、昔ながら“ベンツ”のイメージがあったのは間違いないよな。でもC200では、それが感じられなくなったんだよ。
Cクラスがデビューする以前のベンツには、どうしてもオラオラ感を感じてしまっていた。でもC200にはそれが無い。「ベンツ」がようやく「メルセデス」になったっていう表現がしっくりくる感じかな。それも購入を決めた理由の一つなのかも知れない。
スガ でもさ、オラオラ感が無くなったっていうのは、世界のクルマメーカーが、当時こぞってコストダウンを図っていたっていうのも関係しているんじゃないの? 言い方は悪いけど、クルマが安っぽくなったっていうか。
トガ 確かに安っぽくなったメーカーもあった。でも俺は、C200にまったく安っぽさを感じなかったんだよ。その辺はさすがにメルセデス。昔のメルセデスの良さと、新たなメルセデスの特徴が絶妙にバランスしていた。俺の所有していたC200エレガンスは、ボディカラーが大好きなガンメタで、シートは本革じゃ無かったけど、ヤシの繊維を使ったファブリックは快適そのもの。腰に負担のかかる968CSのフルバケットシートでは考えられない座り心地だった。
スガ 相当ポルシェのフルバケットシートには懲りたらしい (笑)。
トガ うるさいな(笑)。それにC200エレガンスには、アルミホイールが標準で装着されていたというところも、安っぽさを感じさせないポイントだったと思う。さらにウィンカーを操作するときに感じる、ピアノ線が通っているレバーだけが持っている、「ぐい〜ん」という独特の感触は、安っぽさではなく、むしろ高級感を感じた記憶があるよ。

スガ うわっ、さすがクルマ・ヲタク(笑)。それでも当時は、大幅なコストダウンが行われたことで、「こんなのメルセデス・ベンツじゃない」という意見も多かったような記憶があるんだよね
トガ メルセデスがクルマ造りのコンセプトを変えようとしていた時代だから、それは仕方ないことだと思う。それまで「最善か無か」を企業理念として掲げていたメルセデスに対して、その理念に共感していたファンとしては、コストダウンというのはなかなか受け入れられないよね。でもこういう時代の流れや変化を受け入れる度量を持つのも、クルマ好きの矜持だと俺は考えている。あの時の変化があったから、今のメルセデスがあるワケだからね。
スガ クルマ好きの矜持と言われると、納得するしかないな。

気になる走りはどうだったのか?
スガ 当時、ポルシェを3台乗り継いできたトガにとって、小型のセダンであるC200の走りはどんな風に感じたの? やっぱり物足りなさがあったことは否めないと思うんだけど。
トガ そりゃあ、純然たるスポーツカーであるポルシェと走りを比べたら、圧倒的に物足りなさを感じるのは当たり前。
でも実際に走り出すと、やっぱりメルセデスらしさをしっかりと感じられるんだよ。重めのアクセルペダルを踏み込むと、緩やかな加速でありながらもトルクの厚さで、決して遅くは感じなかった。
スガ ちなみに今調べてみたら、C200は136psだ。俺が乗っていたホンダのCRX SiRより非力だな。
トガ うるさい(笑)。そして乗り心地はあくまでもフラットで、どんなに荒れた路面でもビシ〜っと安定して走ってくれるんだよ。どこまでも真っ直ぐ進むようなドライブフィールが気持ち良かった。ボディ剛性の高さも、昔ながらのメルセデスと変わらず、良かった記憶がある。全メーカーがコストダウンを図っていたような時代だったけど、メルセデスは本当に上手く対応していたんじゃないかな。
C200を今、購入しようとすると?
スガ ちなみに今、C200エレガンスを購入しようとするいくら位で買えるのかな?
トガ まぁ、程度の良いものが、総額100万円以内で手に入るね。ベンツからメルセデスに変化を始めた最初のクルマを、普段の足として乗るのも有りだと思うよ。
スガ 即答(笑)。そして、なかなかに魅力的なプライスだな。確かに掘り出し物を探してみるのも楽しいかも!
ところでトガ、初代Cクラスのエレガンスも、1年くらいで手放しちゃったんだよね。 そりゃ何で?
トガ う~ん、確かにC200は、それはそれは良くデキたクルマだったんだよ。でもな、やっぱり真面目過ぎというか、ちょっと面白みに欠けるというか……。まぁ、ぶっちゃけると、自分の気持ちが萎えちゃったんだよね(笑)。
スガ 萎えちゃったって、またもや、ぶっちゃけ過ぎだろ(笑)。まぁ、それが愛車遍歴決定版のキモなんだけど(笑)。
次回は、戸賀敬城、人生初の2台持ちをお送りいたします!

メルセデス・ベンツ C200 エレガンス(1993年式)
全長×全幅×全高:4525mm×1720mm×1420mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:1360kg
エンジン:直列4気筒DOHC 1998cc
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:19.4kg-m/4500rpm
トランスミッション:5速AT
文・菅原 晃
Comments